2011年4月27日水曜日

ぱるす通信 2011年(平成23年)5月9日(月曜日)

ぱるす通信 2011年(平成23年)5月9日(月曜日)
毎月第2・4月曜日発行 第0019号

大学研究室発、産官学連携の東日本復興支援
「東北に親戚をもとう」東北応援
笑顔と笑顔 『はがき商品券』プロジェクト

 東日本大震災が発生した3月11日(金)から2日たった13日(日)、鈴木輝隆さんから「東日本大震災とローカルデザイン研究会」と題したメールが届いた。被災地に向けて何か支援できることはないかと、活動を始めた第一報だった。
 鈴木輝隆さんは、江戸川大学社会学部ライフデザイン学科の教授である。東京で地方のことを考える「ローカルデザイン研究会」を2003年に立ち上げ、毎月、日本各地から地域のリーダーとして活動する人々を招き、勉強会を開催している。大学や会社、行政などの狭い社会を抜け出て、社会人と学生がさまざまな考え方や価値観を話し合うことができる社交の場の必要性を感じてスタート。運営は鈴木ゼミの学生たちが担う。交流を通じて、広い視野でものごとを考えられる人材の育成を目指している。
 被災地支援の対象は、研究会に講師として招かれた岩手県・宮城県在住の地域リーダーたち。ローカルデザイン研究会のネットワークを利用して、鈴木さんから毎日のように報告がメールで送られている。
 4月16日(土)から18日(月)にかけて現地視察を行ってきた鈴木さんに、現地の状況と支援の方向性について伺った。

研究会で支援金を募集して、個人のネットワークに送金
 「鈴木輝隆とローカルデザイン研究会の仲間達」が支援を行っているのは、研究会に講師として招いた岩手県遠野市の多田克彦さん、宮城県気仙沼市の畠山重篤さんなど、かねてから地域リーダーとして活動をされている方々です。
 東京などの非被災地には、支援したい気持ちを持った方々がいます。災害発生当初は、各被災地の地域リーダーに独自の判断で被災者支援を行ってもらうことが最良だということが、メールなどの情報交換によってわかりました。3月16日から研究会として独自に支援金の募集をはじめ、4月11日までに、105名の方から、約186万円の義援金をいただきました。義援金状況については、日々のメール報告で有志の氏名を発表、支出先についても、その都度、報告しています。
 地域リーダーの1人、岩手県遠野市で農場を経営している多田克彦さんは、被災地でも津波の被害を免れ、比較的早い段階から生産を再開。東京に出荷できない中、捨てるのはもったいないと、釜石市など津波の被害を受けた近隣の避難所に、ボランティアで新鮮な野菜や牛乳やプリン、納豆などを届ける活動をスタートしていました。
 また、花巻市の猿舘祐子さんは、子育てネットワークを通して、独自に支援物資を集め、大槌町で避難所となっているつつみ保育園を中心に支援活動を行っています。ミルクが手に入らないという母親がいれば、ミルクだけでなく、洗剤や紙おむつなどを手渡すなど、きめ細かな対応をしています。
 研究会のネットワークを通して、ドイツからも義援金などの支援が届いています。やはり、研究会に講師で参加していただいた縁から、赤十字のような大きな団体に募金をするのではなく、顔の見える支援がしたいと申し出があり、ドイツのおもちゃが猿舘さん宛てに送られ、子どもたちに手渡されました。

視察先には十分な物資が届き、経済活動支援が必要な段階に
 今回の視察で、北から岩手県大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市を回ってきました。今回の視察で、北から岩手県大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市を回ってきました。
 研究会で独自の支援活動を行っていると紹介されると、現地の方々にどれほど感謝されたか、こちらが感動するほどでした。
 支援物資については、当初、避難所に1000人の避難者がいれば、物資も1000個が揃わないと配れないなど、行政を通じた支援には限界もあったようです。行政に携わる方々も被災者であり、手が足りない中で、今なお大変な苦労をしています。物資の仕分けもままならないまま、現在は、山積みになった物資の中から住民が必要なものを探し出して持っていくという状態の物資倉庫もありました。
 一方で、行政から配られる物資には必要量を超えてもらってもいいという心理が働き、個人を通して配られる物資には、譲り合いが見られるという現実もあったそうです。
 多田さんや猿舘さんも物資を避難所へ届ける活動をしていましたが、時間を追って支援のかたちも心のケアなどに変わってきています。

東北の商品を『はがき商品券』で購入して支援する
 ここで問題も出ています。支援物資があふれることで、地元で生産される商品が購入されないのです。今後の支援策としては物資を配るのではなく、被災地が健全な経済活動に復帰し、雇用が生まれ、復興の基盤が整えられるよう、長期的な支援が必要になります。
 そこで、研究会が進めているのが、東北応援 笑顔と笑顔『はがき商品券』プロジェクトです。『はがき商品券』を通して、東北の商品を継続的に購入、東北に親戚をもつような気持ちで応援しようというもの。研究会には、公認会計士やデザイナー、イラストレーターなど多彩な人材が参加しているので、それぞれが知恵を出し合い、企画を進めています。
 義援金を出し続けることには無理があっても、地域の産品を購入することであれば、長く支援を続けることができると考えています。
 概略は、『はがき商品券』を1枚5000円に設定。地域リーダーに送料込み5000円分の地域産品セット(地酒と野菜、乳製品と野菜など)を組んでもらい、被災地支援をしたいと思っている人々に『はがき商品券』購入してもらいます。いくつかのセットの中から好きな商品セットを選んではがきを送ると、地域産品が届くというものです。
 『はがき商品券』のメリットは生産者を支援しながら、産直品をリーズナブルに購入、ギフトにもできることです。デパートなど一般的な流通を通して商品を購入する場合、流通・卸・小売店等の手数料が50%を超える現状では、『はがき商品券』だと、生産者もきちんと利益を得ながら、購入者にも喜ばれる商品設定が可能です。
 はがきは、自分で使わずに、誰かにプレゼントして使ってもらってもよし、使わずにとっておけば5000円が義援金として生きるシステム。企画・立ち上げはボランティアで進め、5月中旬以降は研究会メンバーの中から数名で会社を立ち上げて、継続的な支援に持ち込む計画です。

【すずき てるたか】
1949年、名古屋市生まれ。神戸市役所、山梨県庁、総合研究開発機構勤務を経て、江戸川大学社会学部ライフデザイン学科教授。国土審議会政策部会委員をはじめ、内閣府、総務省、農林水産省、経済産業省等の委員会の委員を歴任。著書に『田舎意匠帳(ろーかるでざいんのおと)』ほか多数。

0 件のコメント:

コメントを投稿